現在、市場は多数のフリゲームであふれています:これは、ゲーマーにとっては夢のようなことですね。
しかし、flashゲームで稼ぎたい開発者にとってこの状況はヤヌスの二つの顔のように良し悪しがあります。競争への参加しやすさ、プレイ環境の高い普及率がある一方で、激しい競争や変化しやすいユーザの好みもあります。長期間ずっとヒットを続けているflashゲーム『Gemcraft』の開発者の一人、Peter Hargitai(Game in a Bottle)は、flashゲーム制作とビジネスの本当のところを話して下さいました。
: 現在、世界中にどれくらいのFlashゲームがあるのでしょうか?競争はどれくらい厳しいのでしょう?
Peter Hargitai: およそ何千ものゲームがあるでしょう。その大半が、ほとんど人々の興味を引くことがない一方で、一握りのトップゲーム(より幸運なゲーム)は、数百万ものプレイヤーを集めることになります。 ゲーム紹介サイトのトップページでは毎日新たなゲームが現れ、過去の目玉ゲームと置き換わります。もし、トップページ—-トップページに載ることのできる数はサイトによって違いますが—–に一度載ることができなければ、そこに返り咲くことは決してありません。この場合、そのゲームは数千程度のプレイヤーしか獲得できません。そもそもゲーム内容自体が平凡である場合、関心を得られる可能性はほとんどありませんね。ゲームで生活したいのならば、意志を固くもってゲームを作らねばならないし、生半可なアイディアのまま形にしてはならない。非常に多くの開発要件が存在するPS3などの他のプラットフォームとは異なり、flashゲームの開発にルールはありませんが、当然プラニング、あるいはゲームの制作途中にも考えねばならない多くの問題があるのです。「プレイ環境の高い普及率」「開発の容易さ(開発ツールの値段等を含め)」といったFlashの利点により、少人数のチームでも熱意さえあれば、非常に多数の人々がプレイするゲームを生み出すことが可能です。ただやはり、flashゲームは現在あまりにたくさんありますし、その大部分はお金を稼ぐというレベルからは程遠い状況ですね。
: ゲームを作るうえで気をつけるところは何でしょう?まぁ平たく言えば・・・クソゲーを作らないようにするにはどうすればよいですか?
PH: まず、大急ぎで作ったいいかげんなコンセプトだとうまくいかないでしょうね。ゲームを作る前に、コンセプトや内容はじっくりと煮詰めるべきです。また、グラフィックを見た瞬間に“3分以上誰もプレイしないだろう”ことがすぐ分かるものや、素人くささがあまりにひどく出ているものなどもマズい。他には、説明が無く、何をすればよいか分からないものや、プレイヤーフレンドリーでないもの、例えば理不尽に“罰せられる”ゲームなども良くありません。第一印象は非常に重要です。ゲーム自身に、“より深くプレイしたい”と初めから思えるような要素がなければ、素晴らしいコンセプトや慎重な開発も無駄になってしまいます。
: ゲームが広く注目を浴びるためにはどうすればよいでしょうか?
PH: まず、そのゲームの根幹にあるコンセプトが想像力に富んだものでなくてはなりません。また、もしプロじゃなかったとしても、真剣に作っているという姿勢が見えることも重要です。もしチームがこれらを達成できるのなら、注目を浴びる可能性はあります。エレガントかつシンプルな良いアイディアの例として「SHIFT」(flashフリーゲームの一つ:白黒の迷路内にいるキャラクターを操り、目的地まで誘導するパズルゲームだが、shiftボタンを押すことで天地、キャラクターの白黒、行動できる範囲が反転するのが特徴)を挙げることができるでしょう。 Shiftボタンによってキャラクターの色や天地をひっくり返すことのできる白黒のゲームです。このコンセプトにはまだ、応用の可能性が多く残されているように思います。
質の高いゲームというのは、幸運な機会に恵まれ、プレイヤーの注意が向けられていきます。 しかしポータルサイトのトップページには、最高でも5~10しかゲームを特集できないので、多くの素晴らしいゲームが不公平に注目されないことがよくあります。我々のゲームが様々なポータルサイトのトップページで特集されたことは、幸運だったと言えるでしょう。トップゲーム間での競争というのが、実は最も激しいのです。ゲームの運命は、プレイヤーの好みの突然の変化や、「そのゲームは面白くない」あるいは「そのゲームはすごく面白い」といったうわさが“伝染”することなどによって敏感に変わってしまいます。
: あなたは今の地位をどのように確立してきたのでしょうか?
PH:ここまでの過程に数ゲームの制作があります。2年前に私は、海賊をテーマとした最初のゲームを制作しました—–当時、まだ作られていなかったテーマのゲームです。大きな成功ではなかったのですが、「flashゲーム制作でいかなるお金をも生み出せる」という希望を十分に持てる結果でした。その次に作ったゲームは、さらに少し多くの成功を得ました—–この時既に我々は、(趣味ではなく)完全にフルタイムでゲームを作っていましたね。私たちは心を決め、失うものは何も持っていなかったのです。『Balloon Invasion』、そしてあまり成功できなかった作品がその後に続きます。状況を一変させたのは『Gemcraft』、私たちの5番目のゲームでした。『Gemcraft』はArmorGamesとKongregate(共に大手flashゲームポータルサイト)で特集されました。丁度私達が『Gemcraft』の第一章(初版)を作っていたときに、FlashGameLicense.comのAdam Schroderと知り合いとなり、彼に『Gemcraft』を競売にかけるよう薦められました。そこで取引されたゲームは、サービスに登録している多数のメンバー(ゲームコミュニティサイト)から、10%の手数料を引き換えに条件のよい提供を受けることができるのです。『Gemcraft』はArmor Gamesによって落札されましたので、彼らは『Gemcraft』の第一ライセンスを所有しています。そして約6カ月前、『Gemcraft』がまだトップページに載っていなかった頃、Armor GamesのオーナーであるDaniel McNeelyから直接私に連絡があり、『Gemcraft』続編のライセンスも取得したいという話でした。また、彼は他の追随を許さない非常に魅力的な条件も提示してくれました。未だ『Gemcraft』がKongregateのトップ3から落ちたことはありません。本当にプレイヤーの皆さんには感謝しています。私達にとってそれがどれほどありがたいことだったか、計り知れないものです。
『Gemcraft』に対して全力で取り組んだのは確かですが、それが全てではありません。運も必要だったといえるでしょうね。
: 『Gemcraft』への全力での取り組みについて、もう少し詳しく教えていただけませんか?
PH: 『Gemcraft』(初版)は完成するのに5カ月かかり、第0章(続編)は7ヶ月を必要としました(サイドノート:二ヶ月間長く開発していますが、その分ゲームが良くなったわけではありません)。私達はもっと少ない時間で完成させることができたはずです。開発中は何度も行き詰まり、1ヶ月あるいはもっと多くの時間を無駄に消費しました。私たちは2人ですべての仕事をしました。バグが残ったままゲームがリリースされることは認識していましたが、同時にゲームコミュニティからのフィードバックを信頼していました。私たちは大量のコメントを利用することができたのです。人々は、より簡単にゲームを改良するアイディアを送ってくれました。
: Flashのビジネスモデルについて説明して頂けますか?
PH: まずサイト側ですが、Kongregateといったポータルサイトは様々な目玉ゲームを取り上げ、広告によってお金を得ています。開発者側の利点としては、これらのサイトは多くの、本当に多くのゲームプレーヤーを集め、彼らのゲーム「ブランド」を確立するのを助けてくれます。また、サイト広告収入の中から取り分をいただけますし、いくつかのサイトでは開発者がよりゲーム作りに従事できるよう、何らかの賞を与えるものもありますね。
このようなウェブサイトはサービスプロバイダー(すなわち、Google Adsense、MochiAds、CpmStarなど)を通して広告を出す手段を持っていますし、一方で広告を出したがっている会社があるのです。この二種類の人々がサービスプロバイダーの自動システムを通して交差し、お金を生み出すことになります。
また、新たな流れとしてプレミアムコンテンツモデル(普通にもプレイできるが、少量のお金を払うことで要素を追加しながら楽しむこともできるシステム)が現在発展途中です。お金の支払いは義務的ではなく、そのままでゲームをプレイすることができますが、もしプレイヤーが「よりプレイを充実させたい・レベルをすばやく上げたい」などのときに、オプションとしてお金を払って楽しむことができるものです。もし開発者がこのモデルを採用したいのなら、開発の初めから念頭に置いてゲームを設計しなければなりません。プレミアムコンテンツモデルは、結果としてプレイヤーへの利益となります。プレイヤーはお金を騙し取られるのではなく、自分のお金を使ってより価値のある経験を得ることになるのです。コアコンテンツ(お金を払わないフリーゲーム部分)もまた、プレミアム内容を必要としないプレイヤーを満足させるものである必要があります—–そして満足いくものであれば、彼らの気を変えることがあるかもしれませんね。
: あなたはビジネスモデルとして、これらのプレミアムコンテンツモデルは成功できると思いますか?もうしそう思うのならば、それはなぜでしょう?
PH: まずゲーム業界において決定的ないくつかの成功例があります: Travian、Evony、Puzzle Piratesなど。そしてもちろん、無料のコンテンツを基本とし、プレミアムコンテンツモデルへと移行してゆくビジネス業界が、ゲームだけでなく他にもたくさん存在します。このモデルが他の業界で成功しているならば、オンラインゲームだけが例外的に失敗するということもないでしょう?
: Flashゲーム開発の専門家というのはどれくらいいるのでしょうか?
PH:いくつか完全に独立したチームがあり、彼らは自身のサイトを持っています。例えば、Casual CollectiveやNinjaKiwiなどです。彼らのサイトには多数のゲームがあり、NinjaKiwiであれば80以上はありますね。彼らは専門家であると言えるでしょう。直接的にいえば、彼らはゲーム制作によってお金を生み出すプロフェッショナルです。しかし彼らのようにうまくいっている例はあまり多くはありません。開発者の大部分が、それよりとても少ない収入によって生活をしています。今現在どれほどのゲームが開発されているか私は分かりませんが、おそらく本当に驚くべき数のゲームが生み出されようとしているはずです。しかし、その中のほんの一握りのゲームのみが、ビジネスとして活動を広げていけるのです。私たちも今現在生活をすることはできていますが、活動のさらなる拡大(新しい人を雇うなど)は地平線のはるかかなた、遠いものなのです。私たちのゲームが成功を続けていけたなら、2,3年後にもしかしたら活動を拡大できるかもしれませんね。
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